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May 18, 2004

冒険の予感

それは1年前の4月も終わりのとある休日
寝そべっていつになく熱心に新聞を読んでいた夫が急に顔を上げていった。
「猫を飼う」
するとそれまでソファで同じように寝ころんでiBook に熱中していた娘が「猫を飼う、猫を飼う」と言い出した。
お利口な私はかまわず食洗器にお皿を入れていたが、かれらのお経のような「ネコヲカウ、ネコヲカウ」は収まらない。とうとう私も口を開いた。
「あのね、一体誰が猫のお世話をするの?」
「私がする」と娘がニコニコしていった。
「僕がする」と夫がくいついた。
嘘をつけ、あなた達の飽きっぽさはこの私が誰よりも知っている。
ジャズギターをすると言って買ったギターは1ヶ月で3階の倉庫へ、これかわいいと言ってねだったアロマは1週間で箱のままゴミ箱へ・・・どうしてそんなところが親子似るかなあ。
「1年たったらいいって言ったじゃない」いつの間にか椅子に移動した夫がコーヒーを飲みながらいった。素早い奴め・・・そういえばそんなこと言ったっけ。
1年前新居に越した際、夫は急に猫を飼うと言い出した。1年後なら・・・ととっさに言ったのは飽きやすい夫の性格を見越してのこと・・・まさかまだ覚えているとは、執念深い奴。
「でもアビシニアンなんてどこにもいないわよ」
この街のどこにアビシニアンがいるというのか。
1年前、夫は「猫・猫」と大騒ぎし、インターネットや本を買い込んできては「シンガプーラもいいけどやっぱりアビシニアンだよね」などと私に秋波を送っていた。
「いればいいの?」
「いても駄目」
「1年たったらいいって言ったじゃない」
まるで子供だ、なんで男はいつまでもこんなに子供なんだ・・・
「ね、いいでしょ猫飼って・・・」
とうとう私は根負けした
「いいわよ、アビシニアンなら」
そうそうアビシニアンがいるものか・・・きっとそのうちあきらめるに違いない。
そのとき夫の目がきらっと光ったのを私は見逃さなかった。
「いいんだね、アビシニアンなら」
不吉な予感がした。

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